改正女性活躍推進法とパワーハラスメント防止措置の義務化に関して

2022年3月16日

皆さま、こんにちは!

オミクロン株の猛威がなかなか止まらない今日この頃ですが、皆さま体調はいかがでしょうか。決して無理をせず、少しでも体調に違和感があれば、かかりつけ医師や保健所にご相談ください。

今月の労務トピックは、令和4年4月から施行される改正女性活躍推進法とパワーハラスメント防止措置の義務化に関してご説明します。

 

■女性活躍推進法施行における背景

日本における働く女性の現状は厳しく、女性の力が十分に発揮できる状況ではないと言われています。

・就業を希望しながら、働いていない女性が約237万人

・出産を機に約5割の女性が離職するなど、離職が多い

・出産・育児後の再就職にて、パートタイム労働者となるケースが多い

・女性雇用者における非正規雇用労働者の割合は6割近く

・管理的立場の女性の割合は約15%(平成30年)と、国際的にみて低い

一方で、日本は急速な人口減少局面を迎え、将来の労働力不足が懸念されている中で、女性の活躍の推進が重要と考えられます。

女性の個性と能力が十分に発揮できる社会を実現するため、民間事業主の女性の活躍推進に関する責務等を定めた「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下、女性活躍推進法)が平成28年4月から全面施行されています。

 

■改正内容

女性活躍推進法では、常時雇用する従業員数が301人以上の企業に対して、以下の取組を義務付けておりましたが、これが令和4年4月以降、従業員数101人以上の企業に義務付けに変更となりました。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000614010.pdf

・自社の女性の活躍に関する状況を把握し、課題を分析すること

・状況把握、課題分析を踏まえた行動計画を策定、社内周知、公表すること

・都道府県労働局に一般事業主行動計画策定・変更届を届出すること

・女性の活躍に関する情報を公表すること(年に1回以上データを更新すること)

ちなみに、常時雇用する従業員とは、正社員だけではなくパート・アルバイト、契約社員など名称に関わらず、以下のいずれかの要件に該当する従業員を指します。

①雇用期間の定めがない者

②雇用期間の定めがあり、1年を超えて雇用されている者

 

■策定の流れ

女性活躍推進法に基づく行動計画の策定から、労働局への一般事業主行動計画策定・変更届の届出、取組の実施は以下の通りです。

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000968346.pdf

 

自社の女性の活躍に関する状況の把握、課題分析

①一般事業主行動契約の策定、社内周知、外部公表

※事業場内の見やすい場所への掲示、社内ネットワークへの掲載、メールでの送付、

書面配布で周知

※厚生労働省サイト「女性の活躍推進企業データベース」や自社コーポレートサイトを

通して外部公表

②管轄の労働局に届出

③取組の実施、効果の測定

 

相談先としては、厚生労働省が「女性活躍推進センター」を設置しています。専任の女性活躍推進アドバイザーが女性活躍に関する状況の把握や課題の分析、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定と届出まで一貫した支援を行っています。

https://joseikatsuyaku.com/

 

■罰則

特に罰則規定はありません。しかし、今後対応が変わる可能性があります。また行政は必要に応じて事業主に報告を求めて助言・指導・勧告を行うことが可能であり、企業に指導が入る可能性があります。なにより同規定において、厚生労働省のサイト「女性の活躍推進企業データベース」などで企業の情報について公表することを求められています。公表していない場合は、求職者が企業の女性活用状況を知ることが出来ないため、人材確保の面でネックとなる可能性があります。

 

■パワーハラスメント防止措置の義務化における背景

令和2年6月1日に「労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)」が改正されました。それにより職場におけるパワーハラスメント防止対策が義務付され、令和4年4月1日より、中小企業も義務化の対象となります。

 

■職場におけるパワーハラスメントの定義

職場で行われる、①~③の要素全てを満たす行為をいいます。

①優越的な関係を背景とした言動

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

③労働者の就業環境が解されるもの

※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる業務指示や指導は該当しません。

パワーハラスメントの例:暴行、脅迫、無視、遂行不可能なことの強制、仕事を与えない、私的なことに立ち入る、など。

 

■講ずべき措置

①事業主の方針の明確化、及びその周知・啓発

パワーハラスメントの内容を明確化、労働者への周知、就業規則への規定

②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

相談窓口の設定、労働者の周知、相談内容や状況に応じ、適切に対応

③職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

事実関係を迅速かつ正確に確認、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行う、再発防止に向けた措置を講ずる

④併せて講ずべき措置

相談者のプライバシー保護、そのために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知

相談したことで、不利益な取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知

 

■罰則

特に罰則は設けられていませんが、問題が見受けられる場合には行政指導が入ります。また是正勧告を受けたにもかかわらず、従わなかった場合は、社名が公表されるというペナルティが設けられました。民事賠償請求に発展する可能性もありますので、就業規則に規定し、適切な対応が必要です。

 

■まとめ

成長した社員が、家庭を理由にして離職するなんて勿体ないですよね。新しい社員への引継ぎにも時間がかかり、定着しない風土にもつながります。多様な働き方を認め、社員に長期に渡り成果を出してもらえる仕組みづくりが、ヒトという経営資源を維持するうえで必要になってきています。

また、パワーハラスメントのような人格を否定するような対応は、避けるべきです。

どちらも今後の人材確保のための指針として、考えておくべき内容になります。

 

チェスナットでは、運用方法のご相談、就業規則の変更、届出まで幅広くご提案します。

ぜひ、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

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